漫画「ひとりでしにたい」を読んで思ったこと

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漫画「ひとりでしにたい」を読んで思ったこと

「ひとりでしにたい」のあらすじ

カレー沢薫作の「ひとりでしにたい」は、伯母が独身のキャリアウーマンだった後に孤独死をしたことをきっかけに、その姿を自分に重ねて自分の最期について見つめなおしていくストーリーです。
仲が良かったはずの伯母さんと疎遠になったきっかけを思い出し、普段は気にもとめていなかった弟や親同士の関係性などを知り、孤独死をキーワードに、新たな人とのつながりや気付きのエピソードがコミカルに描かれます。
周囲の人間関係のシチュエーションも、日常の様子や周囲の登場人物の言葉からとても身近に感じられます。

伯母さんの孤独死をきっかけにして、主人公は目をそらしてはいけない問題に突きあたったり、自己嫌悪に陥るような出来事にも遭遇します。
その都度問いかけては、相手の気持ちを聞き考える主人公の人間味あふれる行動から目が離せません。
どの登場人物の立場になっても共感でき、重たいテーマであるにもかかわらず、面白く読みやすいストーリーになっています。
登場人物とのエピソードやキャラクターに、いろんな要素が盛りだくさん詰まっているので、読んでいて飽きません。

「ひとりでしにたい」を読んだ感想

独身であっても結婚していても、生活状況によっては最後に孤独死する可能性は考えられます。
そして孤独死でなくても、死んだ後に周囲に迷惑を掛けないということは難しく、主人公の同僚が言っているように、元気なうちに目を背けないで「助けが必要になった時」の準備は必要なのだと共感しました。
また、親の介護や自分の病気は決して遠い将来のことではなく、年齢関係なくいつ訪れてもおかしくない問題なので、婚活より終活に目が向いてしまった主人公の警戒感がより何も知らないままではまずいのではと思わせられました。

ただ、実際の生活に介護を必要としていないと、何を知ればいいのかわからないのが現実です。
介護が必要な時はどこに連絡したらいいかわかりますか?という質問に、主人公と同じように区役所以外に思いつかなかったので、自分も現実的に考えていないのだと実感。
このように、漫画のストーリーと一緒に疑問点もわかりやすくピックアップされているので、読むことで知らないのは自分だけではないのだという安心感ももてます。

ただ、向き合うことが怖いテーマではあるけれど、漫画という入り口をきっかけに、介護や最期について考えようとするきっかけになります。
状況が違っても、誰にでも起こる避けられないテーマですが、この漫画を読むことで独身でも結婚していても「ひとりではしねない」ということがわかります。
助けが必要になった時、周囲に目を向けて助けを求められるか、その準備ができているか、自分と周囲を見つめなおすきっかけになるといいなと思いました。